もう1度「夏涼しく、冬暖かい」の意味を考えるときが来たのかもしれない

「夏涼しく、冬暖かい家」

家の快適性を表す際によく聞くフレーズです。
「涼しさ」や「暖かさ」を決める住宅の断熱性能は、住む人の健康や快適性、冷暖房費に大きな影響を与えるため、非常に重要です。

「夏涼しく、冬暖かい家」は大いに結構なのですが、ここで気をつけなければいけないことは、「涼しい」や「暖かい」は、極めて主観的で評価する人によって答えがまったく異なるという点です。

私がいる室温20℃の空間は、ペンギンやラクダにとっては快適と言えないかもしれません笑

ペンギン
( この部屋、メッチャ暑い・・・ )
ラクダ
( この部屋、メッチャ寒い・・・ )

そこで、今回の私の家づくりにおいては、断熱性の目標値を「涼しい」や「暖かい」といった感覚ではなく、数値で定めることにしました。

断熱性能を表す数値は様々ありますが、平成25年に改正された「次世代省エネルギー基準」において、北海道を中心とした最も厳しい「Ⅰ地域」の基準をクリアすることと定めました。


私が住む静岡県はⅥ地域に分類されますので、Ⅰ地域をクリアする性能はオーバースペックと言われてもおかしくない数値かもしれません。

ただし、求められる性能は、時代とともに高くなりますので、長期的な視点から基準をギリギリ達成する性能では不安が残ります。

Ⅵ地域でⅠ地域の基準を満たしていれば、長期的に見ても必要十分な性能だと思います。

また、これ以上の断熱性能を実現することも技術的には可能ですが、そこから先は「快適性は変わらず、その環境を維持するための冷暖房費が変わるだけ」だと思います。

言い換えれば、イニシャルコスト(建築費)をかけて、ランニングコスト(冷暖房費)を抑えるかどうかの判断になります。

冷暖房費の削減が目的であれば、そこで建築費にお金をかけるよりも、別の手段(太陽光発電の敷設量を増加させる、高性能なエアコンを採用する等)の方が遥かに投資回収効率が高いと判断しました。

200万円の追加建築費をかけるよりも、その分で太陽光発電の敷設量を増やす方が、余程合理的です。

200万円あれば、太陽光発電システムを10kW程度(kW/20万円)増やすことができます。10kWの太陽光発電システムによって、発電される電気量は、10,000kWh前後。発電金額としては、少なく見積もっても年間200,000円(20円/kWh)になります。

発電量:10,000kWh × 売電単価:20円(仮) = 売電収入:200,000円/年

冷暖房費でそこまでの差は生まれないでしょう。数値(性能)は重要ですが、追及するあまり、盲目的になってしまうのは避けたいところです笑

高効率のエアコンでも同様の効果が期待できます。
エアコンの選定方法に関するページはこちら

「Ⅰ地域の次世代省エネ基準クリア」というゴール(目標)が定まったので、次回は目標を達成するための「断熱材の選び方」について書きたいと思います。