今回は「換気システム」について書きたいと思います。昨今「断熱や気密の重要性」については、一般の方々にも理解が広がりつつあると感じていますが、「換気の重要性」についてはまだまだ不十分と感じています。
まず換気について、法律で定められた内容から確認すると、2003年7月1日にシックハウス対策のための規制が導入された改正建築基準法が施行されました。この改正によって、換気回数0.5回以上/hの換気設備の設置が義務付けられることになりました。2時間で部屋の空気が1回入れ替わるイメージです。
法律で義務付けられていれば安心と思われるかもしれませんが、目的はあくまでも「シックハウス対策」であり、いわば室内のホルムアルデヒドを排出することでしかありません。
換気によって失われる暖かさ
冬場、熱交換機能のない換気システム(いわゆる普通の換気扇)を採用した場合、家全体から逃げていく熱の10~20%は換気によって失われていきます。せっかく暖房で暖めた空気を排出してしまうわけですから、当然と言えば当然です(ちなみに夏場の換気による熱流入は全体の5%程度のため、そこまで気にしなくてもよいと思います)。
そこで「熱交換」機能が必要になります。熱交換とは、換気システム内で給気と排気の温度を交換して、冬場であれば外気を暖めた状態で室内に取り込みます。
冷たい外気をそのまま取り込んでしまう普通の換気扇と、熱交換し暖められた空気を取り込んでくれる換気システムでは、その快適性や暖房費が大きく異なります。冬場の給気口付近で感じるあの寒さは換気(熱交換)性能不足によるものです。
PM2.5や黄砂による空気汚染、猛威を振るう花粉症
また、ただの換気扇では、PM2.5や花粉といった室内にできるだけ取り込みたくない物質を遮断することが困難です。一定以上の気密性を備えた上で、給気側に高性能なフィルターを採用することが重要です。特に、PM2.5や花粉の影響を受けやすいアレルギー体質のお子様がいらっしゃる家庭等には採用を強くオススメします。
以上の理由から、熱交換機能と高性能フィルターを搭載した換気システムの採用が重要となります。ちなみに私はパナソニックの換気システムを採用することにしました。2015年にグッドデザイン賞も受賞していて、機能と価格のバランスが最も優れていました。
この換気システムの熱交換効率は冬場で約80%です。仮に室内22℃、屋外7℃、温度差15℃の環境下では、15℃×80%=12℃の熱交換が行われます。屋外の7℃に12℃の熱が加えられて、給気温度は19℃となるため、寒さを感じることもないでしょうし、暖房費も抑えることができます。
また微小粒子用フィルターは、PM2.5よりも微小な2.0マイクロメートル以上の粒子を95%以上除去されることが確認されています。熱交換性能、高性能フィルターともに合格です。
最後に、参考までに私が採用した換気システムの見積り内容を記載しておきます。家の広さや形状により必要な部材等も異なるため、あくまでも参考としてご覧ください。
換気システム全体(材料費+施工費):871,496円(税抜)
1. 材料費:472,151円
・熱交換ユニット(FY-30KBD1):127,980円
・給気フィルターユニット(FY-BFG062CL):17,140円
・その他、ルーバー、チャンバー、グリル、断熱チューブ等
2. 施工費:399,345円
・ダクト配管工事:161,210円
・機器設置工事:67,685円
・吸排気グリル取付工事:40,610円
・その他、外部フード取付工事等
施工費は正直かなり割高です。現場の工事内容としては、3人工(1人×3日間)程度で終わる内容ですから、1人工2万円×3日間=6万円程度が発生する正味の人工代です。消耗品等の雑材料費をみても10万円もかかりません。残りの金額はほぼ会社の利益となります。
それでも複数社で相見積りをした結果、最も安価でしたので、多少値引きをしてもらった上でお願いすることにしました。
私が元ゼネコン社員であること伏せて見積りを取ったためか、ダイキンは485万6,000円というあり得ない見積りを提出してきました。全館空調と個別空調等、仕様の違いはあるものの同じ家の空調換気設備で5倍以上、400万円の金額差です。
ダクト工事で使用する200Φのスパイラルダクトは、栗本鉄工の物が最もスタンダードです。ゼネコン時代、集合住宅等でよく使用していましたが、その単価は1,100~1,300円/m程度でした。
ダイキンの見積りは、6,590円/mという衝撃の内容でした。適正価格の5倍以上です。元ゼネコンであることを明かした上で、
と言ってやりました。他にも私から見ると呆れるのを通り越して、笑えてくるような内容の見積りばかりでした。建築業界に身を置いていた私としては、このような輩を許すことができません。相手が内容がよくわからないお客様だからこそ、真摯な対応を取るべきです。1人でもこのような法外な金額を支払ってしまう方が少なくなることを祈るばかりです。とりあえず、熱交換換気システムの採用を検討されている方は、ダイキンの見積りを取ってみることをオススメします笑